《銀河鉄道の夜》

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《小野》が話している間にいつの間にか《凌一》は眠ってしまっていた。 いつも出勤ラッシュの時間まで飲んでいる彼にしては潰れるのが早い方だ。 それだけ酒が進んでいたのか。 二人が飲んでいた一升瓶は今日開けたばかりだったがもう空になる寸前だった。 《凌一》には夢があった。 『いつか店をやりたい。』 彼の地元には小さな頃から家族で食事しに行く店があり、そんな店をやりたいと言っていたのを店主も聞いたことがあった。 目に見える理想があり具体的にやりたいことがある人間は自分の世界を作り出す権利を手に持っているようなものなのに、後一歩踏み出すのを躊躇ってしまう。 その一歩が全てを変えてしまうかもしれないのだから無理もない。
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