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満月を背に、一軒の建物を見つめる人影があった。
濃紺のシルクハットとマント。あまり大きいとは言えない影。男としては小さいはずなのに、なぜか普通の男に見える。下手をすると、子供かもしれないくらい小さいのに。おそらく160センチには到底届いてないだろう。
その影は唐突に、さっきからじぃっと見ていた建物へと跳んだ。
重力から解放されたかのように、フワリと跳び、フワリと着地した。その影は、そのまま屋上から中へ入って行った。
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