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「トム!!」
きみがきゅうに大きなこえを出したから、ぼくはびっくりしてかたまってしまった。
「ごめんね……あなたには、どうしても“世界”を見てほしかったからさ。あなたの目で、いろんな“世界”を見てほしいから……」
きみは、かなしいかおで笑いながら、ぼくの頭をなでた。
「で、でも……ぼ、ぼ、ぼく、やだ、ジュディー……」
「こうでもしないと、逃げきれないよ。そうでしょ?」
ぼくはうつむく。
どんどん近づいてくる、トラックのクラクション。
「……トム、まっすぐ進むんだ。その先に“世界”があるから。誰も果てを見た事がないくらい、広い“世界”が」
きみは、立ちあがった。
ぼくを見て、にこっと笑う。
「じゃあね、トム。短かったけど、今までで一番スリリングで楽しい旅だったよ」
ぼくが腕をのばすまえに。
きみは、道にとび出した。
トラックが、すごいスピードでつっこんでくる。
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