ぼくの“せかい”。

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  ぼくのいえは、あれ地に一けんだけたっている。 まわりには、広いあれ地と一本の道に、黄色いカンバン一つと井戸一つだけ。 ぼくのかぞくは、五人かぞく。 お父さんと、お母さんと、ハンク兄ぃとチョッパー兄ぃ、それからぼく。 でも、お母さんはもううごかないし、おはなしもできない。 お父さんは、うごけないけどおはなしはできる。 兄ぃたちは双子で、かおがそっくり。 そして、二人ともとっても元気。 ぼくらはいつも三人であそんでいた。 ぼくらのごはんは、たまに道からやってくる。 だいたいは、兄ぃたちがつかまえてくる。 ぼくもたまにつかまえるけど、まだまだにがしちゃうことの方がおおい。 そのたびにお父さんにおこられて、兄ぃたちになぐさめてもらう。 だから、ぼくはもっぱらお料理がかり。 あまった皮とかももらえるし、何よりみんな「トムの作る飯はおいしい」って言ってくれるから、ぼくはこの方があってるんだ。 しこみからなにから、ぼくはぜんぶ一人でやる。 血をぬいて、手足をとって、皮をはいで、肉をそぐ。
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