ぼくの“せかい”。

3/7
前へ
/99ページ
次へ
  たぶん、とってもいたいんだろうね。 ごはんは叫ぶ。あばれる。にげようとする。 だから、ぼくは一生けんめいだ。 ぜったいににがさないように、いろんな工夫をする。 背中をてつの爪にひっかけてつり上げたり、頭をなぐって気ぜつさせたり、一ばんはじめに足をきったりする。 そうしてしこみをして、ようやくおいしいお肉になるんだ。 そして今日も、兄ぃたちがごはんをつかまえてきてくれた。 「おーい、トム!仕込み頼むわ!足はもう切っといたから!」 「助けて、助けてくれぇえッ!!嫌だぁあああ゙あ゙ーッ!!」 ハンク兄ぃが、にげようとあばれるごはんをかかえて、しこみべやにはこんでくる。 「今日のはステーキがいいと思うなぁ。脂のってるからさぁ!」 ハンク兄ぃのうしろから、チョッパー兄ぃがにこにこ笑いながら言う。 「そうだな!太ももとかミディアムで焼いたら最高……お前うっせぇんだよ!!父さん寝てんだから静かにしろや!!」 ごはんの叫ぶこえがむかついたのか、ハンク兄ぃはごはんのおなかをおもいっきりなぐった。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加