開幕 ― ほどかれる糸 ―

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康平と秋穂が結ばれ、康平の仕事が落ち着いた3月。 暖かくなった空の下、裕太と茜を含めたいつもの面子が、カフェテリアに集まっていた。 「しかし、随分暖かくなったわねぇ。」 「そうだねぇ。」 のんびりとしていた茜と秋穂が呟き、空を見上げている。 そんな二人の隣で、裕太と康平が話し始める。 「ところで、康平。最近は仕事ばっかりみたいだけど、どうなんだ?」 「ん?まあ、忙しいのは間違いないけどな。やりがいはあるよ、メンタルケアの仕事も。」 あの日、笹川の楽団について行かなかった康平だが、笹川の紹介で医療施設でのバイオリン演奏を行う仕事を任されていた。 「そっか、ならいいけどよ。最近ギターの調子が悪くてよ。また教えてもらいたいんだけどさ。」 「調子って・・・お前、会ってすぐの頃と大して変わってないだろ?」 「お前って・・・結構、毒吐くよな。」 「仕方ないだろ?お前、言うこと聞かないじゃないか。」 慌ただしい康平には、和やかに過ぎる時間が心地よく感じられていた。 「・・・ねぇ、康平さん。」 「ん?どうしたんだ秋穂?」 そんな康平達を眺めていた秋穂が、会話に入ってくる。
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