別れの歌

3/3
前へ
/28ページ
次へ
 私と彼の間柄は奇妙なものだった。それは、彼自身が望んだ結果であり、同時に私自身が望んだ結果だった。此処ではそれが認められる。此処でだけはそれが認められた。  しかし、仕方がないこと。いずれこの日が来ることは解っていた。理解はしていた、けれど、心はそれを認めなかった。  この歪んだ心が引き起こした悲劇だというのならば、私はこんな愚かなことには手を染めなかったことでしょう。  これは私に対する罰なのかもしれない。どんな罰も受ける覚悟はできていた。いや、できていたつもりでしかなかったのかもしれない。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加