プロローグ

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プロローグ

地球の中心部のマグマ。 そこには漆黒の巨大な塊が鎖で繋がれている。 この漆黒の巨大な魂は魔神と呼ばれる、邪悪な神である。 大昔に恐竜などの地球の生物を滅ぼした魔神であったが、魔界の初代魔王にここへ封印されてしまったのである。 そして魔神が今、長い封印から目覚めようとしていた。 魔神「ふんっ、そろそろ私の体を縛り付けているこの呪縛が弱まって来たようだな」 魔神は周りの鎖を弾き飛ばし、どんどん上昇して行き、やがて地球上に出てきた。 辺りは人気の無い森の中であった。 魔神「さて、再び地球の生物を一掃するとしよう」 魔神は元気に浮かんだが、すぐにしょぼくれたように下に沈んだ。 魔神「しかし困ったな…。私は何かに乗り移らなければ生きられない…。封印されていた時は封印術の作用で無事だったが…。まぁあしかし、どうせ乗り移るなら、絶望に満ち、闇の心を持った生物がよいな」 魔神は周りを見渡したが、魔神が望むような生物は見つからない。 漆黒の塊の動きはだんだんと早くなってきた。 「まっ…まずい…もう息が!せっかく封印が解けたのに、このままくたばってたまるか!この際贅沢は言ってられんな!!」 魔神は近くにいたカエルに乗り移った。 しかし、いくら魔神といえどカエルになっては魔法も使えず、世界を滅ぼす事など出来ない。 やがて魔神は、とある一軒の和風の造りの大きな家の庭にたどり着いた。 魔神(ここは…家のようだな…) その時。 バリン!! 窓ガラスを割りながら5歳ほどの黄色い髪の少女が庭へ何者かに投げ飛ばされた。 「あんたは!!私の子なんかじゃないわよ!!」 家の中から黒い髪の女性が窓から顔を出し、地面に倒れて込んでいる少女に叫んだ。 女性は窓から顔を引っ込めた。 「…」 少女は気を失っている。 どうやらこの少女は親に虐待をされているようである。 魔神は少女に近づいた。 魔神(この少女、よい絶望と闇に満ちているな。早速乗り移るとしよう) その瞬間、カエルから漆黒の塊が現れ、少女に吸い込まれ、カエルはどこかへ逃げて行った。 こうして魔神はなんとか命拾いをした。 魔神(この絶望と闇に満ちた心…実に居心地がよい。…なんだか…居心地が良すぎて…眠たくなって…き…た…) 魔神は少女の心の中で眠りについた。 今から起こる物語はそれから4年後の出来事、この少女が9歳になった時の物語である。
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