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ソル「次は、絶対に勝ってみせる」
ソルは顔を強ばらせ、パイプの先を見た。
パドック「それは心強いな~。しかしlevelはどうなんだね?」
パドックは、我が子を心配するような顔で、ソルに尋ねた。
ソル「大丈夫。levelなら仕事の合間に稽古して、五万年前とは比べ物にならないくらい上げた。それに…」
パドック「それに?」
ソル「今回は仲間もいる」
ソルは、真紅の瞳を爛々とさせ、魔界の空を見上げた。
パドック「そうか、それはよかったな。たしか、決戦は今日の夜だったよな?」
ソル「あぁ」
パドック「なら、今日はもう上がりな、後はやっとく」
パドックは笑顔でソルを見た。
ソル「だめだ。今日のオレのノルマはまだ終わってない、それを誰かにやってもらうなんて…」
仕事に戻ろうとするソルの肩に、パドックは、ポンと手を置いた。
パドック「今夜の決戦は、俺達下級悪魔の運命が掛かってるんだ。まぁあ、これは極秘任務だから、この仕事場では俺だけが知っている事なんだが、もし仕事場のみんなが今日の決戦の事を知っていたら、絶対にソル君の負担になるような事は、させなかったと思うんだ」
パドックは、仕事場の下級生悪魔達を見渡した。
パドック「だから、少しでもソル君の負担になる事はしたくないんだよ。それにもうすぐ日暮れだ。だから、な」
パドックは笑顔でニコッと笑った。
パドックの言葉にソルは振り返った。
ソル「わかった。すまないな」
パドック「これはプレゼントだ」
とパドックはポケットから小さなペットボトルに入った悪魔の体力を回復させる魔氷水を取り出し、ソルに渡した。
ソル「サンキュ!ありがとな、パドック」
ソルはパドックの目を真っ直ぐに見て少し微笑んだ。
パドック「がんばってこいよ!」
ソル「おう!」
ソルはパドックに手を大きく振り、駆け足でその場を去った。
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