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「・・・」
「・・・」
「・・・あの、入学式の会場はどこでしょうか??」
突然の彼女、俺の心を鷲掴みにした彼女、俺を放り投げて保健室送りにした彼女の登場はあまりにも予想外だった。本当ならば新入生はもうとっくに二号館の集合教室で待機しているはずなのに。
「き、君、何をしてるんだ。新入生の集合時間はもう過ぎてるんだぞ。」
彼女の登場に驚いたのは猫屋敷先生も同じだったらしく、ひどく動揺している。
「さっさと二号館の集合教室に移動しなさい。」
「・・・はぁ、わかりました。でも、」
彼女が人差し指で俺を示す。
「彼も同じ新入生ですよね。一緒に連れて行くので彼から離れていただけますか??」
驚いた。これまでの過程を見ていなかったとしても猫屋敷先生は常人の域を離脱したような雰囲気を持っている。そんな相手に彼女は躊躇することなく立ち向かい、俺という他人のことも守ろうとしているのだ。
「それはできないな。彼にはまだまだ教育しなければいけないからね。」
「教育??そんなのは教室の授業だけで充分ですよ。日常生活の生き方なんて誰に言われるでもなく自分で決めます。だから、」
彼女が一歩踏み出す。
その目は真っ直ぐと、猫屋敷先生を見据えていた。
「彼から離れてください。」
「・・・おもしろいね。どうやら君にも、資格があるようだ。」
「資格??ボールペン字講座なら受けてますけど??(ちなみにユーキャンで)」
猫屋敷先生が俺から手を離し、彼女と向かい合う。ちょ、まずいぞ。このままじゃ彼女が。
「ならば試してあげよう。さぁ、思いきり私を殴ってみなさい。」
「・・・はぁ??」
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