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自分で自分がわからなくなった。ひょっとしたら自分は前世で何か罪を犯してしまったために、恋のできない体質になってしまったのではないか。なんてことを、幼かった俺は無い頭で真面目に考えていたが、今はそんなことで悩みもしない。
人間、歳を重ねるごとにあらゆることがめんどくさくなる。それと同じ。悩むことがめんどくさくなってしまったのだ。
悩んだところでなんだというのだ。この体質が治るわけでも、俺が誰かに恋をするわけでもない。なら考えなくてもいいんじゃね??つかめんどくせぇや。と、そういうことだ。
恋ができないからと言って、特に困ることもない。だったらこの体質も別になんの障害でもない。おまけみたいなもんだ。
世の中には俺みたいな変わってる奴が何万人もいるんだ。その中の1人ってだけで何も変わらない。俺は俺だ。
もう恋をしたいなんて言わないよ絶対。
しかしだ。
しかし、まったくもって予想もしていなかった事態が訪れた。それは突如現れて、それは俺の前を通り過ぎ、それは俺の心を・・・ときめかせた。
車木零時、十六歳、春。
最初で最後の恋に出会った。
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