第二幕

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「あっ…あの、斎藤さん?」 「………………」 巡察の最中。 千鶴の横を歩く斎藤が急に足を止めた。 千鶴が問うも返事がない。 ただ黙って千鶴を見ていた。 こんなことは過去にはない。 先に行かせているとは言え、隊士たちがいつ戻ってくるかもわからない。 それに、浪士がここに居ないとは限らない。 なのに、沈黙したままだった。 当の斎藤は、考え込んでいた。 自分の在り方と、自分の心に。 決意に変わりはない。 新選組の一員で在ることは…。 たが、今はもう一つの感情がある。 原因は千鶴のことだった。 男の自分に合わせて歩くのは、女である千鶴には苦労だろう。 なのに弱音を吐かない。 いくら男の振る舞いをしていても、それは苦痛ではないのか。 斎藤は、それが気掛かりだった。 以来、斎藤は千鶴に調子を崩されていった。 「…どうかしましたか?」 「……いや、なんでもない」 「また刀のことでも見ていらしたんですか?」 千鶴のその瞳に、自分が映っていいのだろうか…? 複雑な心のまま歩きはじめた斎藤の隣には、いつもと変わらない千鶴がいた。
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