夢、過去、夢、感情

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 暗い、暗い校舎。所々にある消火栓の赤いランプが闇をリアルに浮かび上がらせる。 行ったら、駄目。 分かってるのに。あたしは。 分かってるのに――  美術室にあった忘れ物を取り、踵を返した。隣りの部屋、美術準備室が、明るい。 一ヵ所だけ電気が点いているから。暗いから、細い光なのに不釣り合いに、明るい。  それに気がつき漸く聞こえ出した甘く、密やかで、そして断続的な吐息。準備室に続く扉の細い隙間から、あたしは、覗いた。そして、見た。見て、しまった。 岬里亜と絡み合っている、女を。  椅子に座った岬里亜。 その膝の上に座る彼女の腰は断続的に動き服もはだけている。対照的に彼女の服は乱れ一つ無い。  あたしは、動けない。足が固まったように動けない。 逃げたいのに、見たくないのに、動けない。 ビー玉みたいに機能しない目が景色ばかり映し続ける。
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