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「いやっ!!」
部活用の小説を書く為に普段よりもずっと早めに設定した携帯のアラームと悲鳴であたしは目を覚ました。最悪な夢だった。一年の時のあの日の、夢。
近頃は見る事がなかったのに。嫌な汗がじっとりと体を濡らしていて不快だった。
「……最、悪」
あたしは意味なく唇を拭った。乱暴に、繰り返して。そして起こした体を再びベッドに沈めた。
ずぶずぶと深く、沈んでしまいたかった。何処か、その記憶を棄てられる所にまで。あの目にあたしは呪われてる。
呪われろ、私を忘れるなと目が訴えている。
多分、これからもずっと。あたしが死ぬまで一生。
あははっ、と乾いた笑いがあたしの口から割って出た。意図せずに生まれたそれは中々消えずにいて自分の意思では止まらない。薄く涙が滲むまで笑っているのに止まらない、止められない。
あたしはこのまま笑い死ぬんじゃないか。
そう感じるくらいに長く笑い続けて、それは漸く止まった。
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