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「馬鹿みたい」
水も飲まずに笑いすぎたせいか口から出たのは嗄れた声だった。
ぽつり、と呟いた声は部屋に吸収されていく。
秋の遅くなり始めた朝の凜とした気配と僅かに冷たい冬の香りが満ちる部屋に虚しく吸収されていく。
……このままあたしの記憶も吸収されればいいのに。
椅子に座った後も小説を書く気が起きずにあたしは只景色が変わっていくのだけを見つめていた。
頭の中、あの教室に行くと言う事に対する恐怖に似た感情。
気がつけば、下書き用のルーズリーフに意味のないへろへろとした文字ばかり増えていた。
提出期限は来週だが、こんなもので間に合うのだろうか。いっそ、今回はサボってしまおうか。
考えだけが巡っていき、気がつけば既にいつも起きる時間で。あたしは慌てて制服に身を包み、一階へと下りていった。
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