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入った瞬間部室の喧騒が耳を賑わせる。文芸部と漫研を合わせたような所だから比較的いつもの事だけど。部員が多いせいか旧美術室を広々使用している。
机の上に鞄を置くと同時、ぱたぱたと部長が駆けてきた。あたしと今回コラボしてくれる子。
「岩城ちゃん、進み具合は?」
「微妙かな、なんかいまいち納得いかなくて」
「岩城ちゃんは理想高いからな~、ま、ベターの作品でも良いから」
明るく笑う彼女に対して、苦笑を見せながらあたしは内心ふざけるなと毒づく。別に理想が高い訳じゃない。
自分が納得出来ない文を書くという行為が、ベストを尽くさないで書く行為が嫌いなんだ。ましてや、部誌で内容を漫画にして貰うのに。中途半端なんて失礼だ。
何事も書くならば、やるなら全力を尽くしたい。それが当たり前じゃないだろうか。なんで理想を高いなんて言われるんだろう……。
あたしは小さく溜息を吐いた。
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