153人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしは目を強く見据えるようにしながら言い放った。早く、空間から逃げ出せるように。これ以上気分が悪くなる前に。
「あたしの友人に手を出したようですから」
「そうでしたか?」
唇の端をあげ、彼女は厭らしく笑う。しらばっくれるように、笑う。いや、多分どういう理由か知らないだろうから仕方ない事だけど。
「あなたがネットのSNSサイトで手を出したあたしのリア友が泣いてるんです。だから、友達を弄ばないで下さい」
彼女はわざとらしい笑みを崩さず溜息を吐き、あたしの耳元に唇を寄せた。
そしてそのまま言い放つ。あたしの耳元で。何事もないかのように、その言葉を。
吐息が耳にかかり不愉快だろうに。それさえ感じさせない言葉を。
断罪のように。見下すように。その癖に酷く優しく、蕩けるように。
「そんな理由で、私を呼び出したんですか」
最初のコメントを投稿しよう!