真夜中の電話

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 四時半過ぎ。授業も終わり、放課後。あたしは駅で菜穂を待つ。いつもはすぐに帰るけど。今日は別だ。学校が違うせいかそれから五分程経ち、彼女は現れた。 「菜穂」 「美織……」  昨夜はずっと泣いていたらしい。泣き腫らしたような赤い目に思わず胸が痛くなる。静かに歩いて駅近くのミスドまでいく。適当にドーナツと飲み物を買うと席についた。  選んだドーナツを食べると甘ったるい味が口の中に広がっていく。 そのまま暫くすると、菜穂が漸く口を開いた。 「美織はさ、私の事馬鹿だと思ってるよね」 「そんなことないよ菜穂」 「私も自分を馬鹿って思ってるよ、でもさ、好きって言って、OK貰えて」  菜穂の唇からは次々と何をされたかが妙に生々しく語られる。ネット上なのに、無駄に生々しく。  最後に「でもさ、好きになっちゃって……っ、どうしようもなくって……」と結び、菜穂が涙を流す。その目から零れた涙をいつもあたしは拭いていた。 「泣かないで、菜穂」
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