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帰宅して、携帯を開いた。そこからあたしはあるアドレスにメールを送る。あれ以来もう一生メールを送るつもりのなかったアドレスに。
『明日、放課後、美術準備室に。お話があります』
メールしてちょうど五分、返信がある。デコレーション絵文字の溢れた、可愛らしいメールが。
『君からメールがくるなんて、嬉しいですよ
分かりました、君の為に明日は空けておきますね』
思わず失笑を零してあたしは言い放つ。何を期待しているんだ、彼氏でもないくせに。目を細めてメールを見つめ、呪われろ、とでも言うかの如く暗い暗い声で。その癖さっぱりと。無機質に、無感情に。ロボットみたいに。
だって、あたしはあなたなんか知りたくなかったんだから。知りたくもないし、こんなことがなかったら関わりたくもなかったんだから。それを示すように、きっぱりと。本人には、言えないから。
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