学校帰り

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「璃和!」 横断歩道から少し離れた商店街の本屋から1人の少年が横断歩道を渡ろうとしている璃和を呼び止めた。 「…なに?お金は貸さないですよ?」 「そー言わないで貸してくれよ~」 少年は土下座をする勢いで頭を下げた。 黒くて無造作に伸びた髪が少年の顔を隠した。 波河 嵐(なみかわらん) 璃和には一万円以上借金をしている。 高校の帰りに商店街の本屋に通うのが日課だ。 「まったく…早く返しなさいですよ」 「はいはい、分かってるよーだ」 璃和がサイフからお金を取り出すと、嵐は目にも止まらぬ速さでお金を取った。 今日も璃和は千円を嵐に貸した。 (本屋まで歩くなんて…後で労働代貰わないとですね。今月のお小遣い残りわずかです…) 璃和は1人静かに心の中で言葉を発した。
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