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「川島の野郎が隊士だと偽って金策をしてるらしいぜ………伊東さんよォ。」
静寂の流れる屯所の一室。
静寂を破ったのは、眼前に座る新撰組副長の土方歳三だった。
(な、何じゃと………!)
富山弥兵衛は驚愕せずにはいられなかった。左斜め前に座る伊東甲子太郎に目を遣ると、彼も驚愕を隠せないらしく、珍しく狼狽えている。
「土方さん。その話は確かなのですか………!?」
伊東は土方にそう尋ねた。
「観柳斎の野郎が懇意にしてる古本屋に新名堂って店があるんだがな。そこの主人が〝自分は新撰組の伍長川島勝司だ〟と名乗る輩に金を貸せと迫られたそうだ。で、主人にその不逞な輩の人相書きを描かせたら………川島の野郎に瓜二つだったってェ訳よ。」
土方は伊東の問いにそう応えた。
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