断罪

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                〝近藤先生。確かに川島君は過ちを犯しました。しかしたった一度過ちを犯しただけで腹を切らせるのは余りにも酷ではありませんか?〟  伊東は新撰組の局長である近藤勇にそう言った。  〝それじゃ他の隊士に示しがつかんぜ。〟  近藤の代わりに土方がそう応えると、伊東は〝私に免じて、ここは切腹ではなく除隊処分ということにしてはもらえませんか〟と頭を下げて川島の助命を嘆願した。これが功を奏して、川島は切腹を免れ除隊処分で済んだのである。  (その川島が今度は………新撰組の名を騙って金策じゃと!?あン奴、伊東先生に命を救うてもろちょりながらよくも………!)  弥兵衛はそう思い、膝の上の拳を強く握り締めた。
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