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元治元年の某日、弥兵衛は屯所の一室で局長の近藤勇、副長の土方歳三、参謀の伊東甲子太郎に囲まれて座っていた。
「して、君の名は何という?」
正面に座る近藤が弥兵衛に尋ねた。
「お、おいは薩州浪士、富山弥兵衛と申す者で御座りもす。」
弥兵衛は自己紹介をして一礼をした。
「薩人が新撰組に何の用だ?」
弥兵衛の右側に座る土方が恫喝にも似た口調で言った。
「土方さん、そう邪険にせずとも良いではありませんか。彼が怯えていますよ。」
土方の反対側に座る伊東が彼にそう言った。
「………入隊か?」
土方は伊東の言葉に暫時むっとした様子だったが、やがて弥兵衛にそう問うた。
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