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「うお……」
「おお、こりゃすげえ!」
眼前には100万ドル、とまではいかないが幻想的な夜景が広がっていた。
輝くネオン、妖しげに光る車のテールランプ、街灯。この中にいつも自分がいるんだってことが、何だか信じられなかった。
「こりゃ、すげえな、光明!ただ、この広場にはちょっと足りない物があるんだがな……」
「足りないもの、か? 俺には十分だがねえ。しかし、神様のお前でもこの景色には感動するんだな」
「綺麗に神様も人間もねえんだよ。……この地上には、100万ドルの夜景ってもんがあるらしいな」
「ああ、ある。っつーかそんなもんと比べんなよ。流石に100万ドルまでは行かねーさ。せいぜい20万くらいか?」
「いや……んなことはない」
リリィは広場の先、夜景に一番近いところまでゆっくりと歩み、立ち止まって夜景と同じくらい美しい笑顔で振り返り、俺にこう言った。
「光明と見る夜景――プライスレス、ってな!」
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