① 

4/11
前へ
/55ページ
次へ
その時。 あたしは誰かにぶつかってしまった。 絢との会話に夢中で気を取られていて、前に気付かなかったのだ。 全身に廊下の冷たさを感じた。 「わっ!?? 華、だいじょ………っ!!!?」 あたしに駆け付けようとした絢だが、あたしの数歩程前のところで止まってしまっていた。 絢はぶつかってしまったであろうその人を見ていた。 「絢…?」 不思議に思ってその人を見ようとした、その時。 「ってぇな、テメェ等ァ!! ふざ………っ…」 その怒鳴り声にびっくりして、上半身を起こすと… やばい。 あたしがぶつかったのは、 ピアスが大量に開いていて、さらさらな赤髪の、いわゆる不良だった。 しかも、でかい……。 しかしその不良さんも固まっていた。 「っ…」 「ちょっと、咲騎!相手は女の子なんだよ!?」 すると隣にいた銀髪の人が、間に入って“サキ”と呼んだ赤毛の人にそう言った。 「やっぱ、いいから…」 「へ?」 やっぱいいって…? どういうこと? あたしは話が読み込めないでいた。 しかもさっさと去って行く、さっきの不良さん達。  
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加