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その時。
あたしは誰かにぶつかってしまった。
絢との会話に夢中で気を取られていて、前に気付かなかったのだ。
全身に廊下の冷たさを感じた。
「わっ!??
華、だいじょ………っ!!!?」
あたしに駆け付けようとした絢だが、あたしの数歩程前のところで止まってしまっていた。
絢はぶつかってしまったであろうその人を見ていた。
「絢…?」
不思議に思ってその人を見ようとした、その時。
「ってぇな、テメェ等ァ!!
ふざ………っ…」
その怒鳴り声にびっくりして、上半身を起こすと…
やばい。
あたしがぶつかったのは、
ピアスが大量に開いていて、さらさらな赤髪の、いわゆる不良だった。
しかも、でかい……。
しかしその不良さんも固まっていた。
「っ…」
「ちょっと、咲騎!相手は女の子なんだよ!?」
すると隣にいた銀髪の人が、間に入って“サキ”と呼んだ赤毛の人にそう言った。
「やっぱ、いいから…」
「へ?」
やっぱいいって…?
どういうこと?
あたしは話が読み込めないでいた。
しかもさっさと去って行く、さっきの不良さん達。
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