きっかけは

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『パパ!待って~』 『たけし~遅いなぁ』 蝉の声が聞こえる 夏のポカポカした日曜日 今日は風も気持ちいい 『そろそろお弁当にしな~~い?』 母はサンドイッチを片手にたけし達を呼ぶ 『お~わかった~! たけし!競走だ!』 『パパ待ってよ~』 3人で仲良くサンドイッチを食べる 景色の眺めは最高 誰もいない広い緑に囲まれ 幸せだなぁ~っと父と母はお互いを見つめ合う 昼ご飯も終わり 父はたけしにゴルフを教える もちろん遊びで おもちゃのゴルフクラブをグーで握り 握り方はめちゃくちゃだが、たけしは思いっきりクラブを振る 『ファーーーーーー!』 父は笑いながら大声をだし 『たけし~下手だな~』 笑い転げる 『だって~むずかしいよ~』 たけしの困ったような顔はかわいい 『よし!たけし見てろ! こうやるんだ』 父はおもちゃのゴルフクラブでプラスチックのボールを さすがに経験者はすごい !ボールは穴の1メートル手前の場所に 『パパすご~い!僕もパパみたいになりた~い』 『俺が教えてやるよ!たけしは未来のプロゴルファーだな!ハハッ』 たけしは父を見てうん!とうなずく 『セイヤー』 どこかのヒーロー番組? の掛け声を掛けながら クラブを振り回すたけし 子供はかわいい!純粋で素直だ たけしの顔を見て微笑む父、目の前には 冷たくなったたけしの寝顔 息もしていない 生きてるように寝る たけしの顔は幸せそう… 父は泣きながら倒れ ただ… ごめん!ごめん…とつぶやく… 午後11時42分 月末の日 たけしは死んだ…  
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