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魔法使いの青年は何日も海を眺めました。
そしてある日とうとう、海の中で暮らす事を決めました。
色んな顔を持った美しい海に心が惹かれたからでした。
魔法使いの青年は、海の中でも息が出来る魔法の粉薬を口に含みました。
魔法の薬を鞄に詰めて、住家を作る為に怪力が出せる丸薬を幾つか瓶に入れて、直ぐに取り出せる様にしました。
海の中の沈没船を材料に、家を建てようと魔法使いの青年は計画したのです。
海に向かって歩く魔法使いの青年。
彼は様々な海を巡り海底の美しさに心が癒されて、益々、海に惹かれて此処に住みたいと思いました。
魔法使いは海底火山を見付けました。
火山は噴火して、海底でも温かいのです。
ちょうど、大きな噴火の名残りの海底洞窟が有り、その中を進むと水の無い大きな空間がポッカリと空いた場所を見付けました。
内海の波打際の様な、優しいさざなみの音が素敵で、魔法使いは此処に住む事を決めました。
魔法使いは怪力の丸薬を口に含んで、洞穴の1番奥の岩壁をツルハシで魔法使いの背丈より上から、まあるく削って、下を残してベッドを作りました。
ベッドは丸太をくり抜いた様な形になりました。
魔法使いは海の上に上がり、カモメやあほうどりの柔らかな内羽根を毟って集めて、ベッドに敷き詰めました。
その上を布で被って寝具を乗せて寝場所の完成です。
次に魔法使いは風を起こして洞窟中を乾燥させました。
沈没船から運んだシャンデリアを天井に付けて、部屋の中を明るく燈せる様にしました。
火山から流れ出たミネラルで出来た鍾乳石。
その天然の芸術が、彼の住まいの洞穴の隣に存在する事を知って、壁に四角い穴を開けて窓を作り、何時でも見れる様にしました。
沈没船から運んだ材料で、ベンチを作ってその側に置きました。
これなら何時間でも天然の芸術を見詰める事が出来るでしょう。
青年は此処に来て初めて微笑みました。
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