魔法使いの物語

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魔法使いの青年は、それから調理場を作ったりテーブルを作ったりして、着々と生活の場所に洞窟中を改造しました。 幸いな事に、川が流れてましたので、飲み水には困りません。 陸で不幸続きだった分、海に入ってからは幸運な事が続きました。 まるで、魔法使いの青年を海が歓迎している様で、心から嬉しくなりました そして心に余裕が生まれて、枯れて欠けてしまった優しさが、彼の心の中で息を吹き返しました。 魔法使いは食材を集めに、住家の洞窟の周りを探検しました。 火山を挟んだ反対側に、今はひっそりと暮らす人魚の国を見付けました。 彼らはとても平和主義で、そしてあまり賢くは有りませんでした。  きゅいきゅきゅ どうやら青年を歓迎してくれてるみたいでしたが、次に同じ人魚に会っても、  きゅいきゅきゅ 同じ挨拶をされるのです。 けれども 人魚達は青年に会う度に歓迎してくれて、美味しい貝や小魚を分けてくれました。 魔法使いは、そんな平和的な人魚達と友達に成れたと思いました。 あまり賢くはない人魚達の忘れっぽさを、魔法使いの青年は甘く見ていたのです。 賢い魔法使いの青年は、人魚の言葉を覚えました。  きゅいきゅうきゃー 面映ゆくて、擽ったい様な声で青年は人魚達と会話しました。 そんな青年の甘ったるい優しい声に、人魚達は歓迎のお土産に、大切にしていた真珠や珊瑚のお宝を青年に持たせたのです。 青年は人魚にも理解出来る簡単な知恵を、お礼に授けました。 人魚は青年を魔法使いだと、認識出来るようになりました。    
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