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昔むかし
人間がまだ二本の足で歩けず、森の木の枝に掴まって生活してた頃、
広い広い森の中で、人間の食べられる物がとても少なくなり、人間達はとても困ってしまいました。
平坦な草原は、人間の逃げ場が無くて危険な獣が沢山居ます。
けれども、
その分、美味しい根菜や穀物、何より栄養がたっぷりな、猿の仲間達の中でも大きな人間に満足出来る、獣の肉に溢れてました。
人間の中でも1番に、その食べ物達の味を知って忘れられない人間達は、次第に木の枝を下りる時間が長くなり、二本の足で歩く事を覚えました。
平坦な草原を目指す人間が居る一方で、空を見詰める人間達と、海を見詰める人間達が居ました。
青くて広い世界。
豊かな生命が溢れ、とても懐かしい波音で包んでくれる美しい海と、
色々な色に変化する美しくて広い空。
空には人間を襲う危険な獣は居ません。
どんどんと平坦な草原へ移住して、栄養をたっぷりと摂って賢くなってゆく人間達を尻目に、
空と海に憧れる人間達は相変わらず森の中でそれぞれ空と海を見詰めてました。
森の中の食べ物の量は人間が少なくなっても、やっぱりお腹いっぱい食べる事は出来ないのでした。
空と海を見詰める彼らは
長い、長い間、
時間を掛けて
徐々に変化しました。
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