魔法使いの物語

6/38
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
       † その男の子は孤児でした。 父さんと母さんは、魔女狩りの裁判で魔人と魔女と審判されて、火炙りにされて亡くなってしまいました。 だから男の子は自分が本当は魔法使いだと知りません。 父さんと母さんが衛兵に捕まった時、隣の奥さんに預けられて難を逃れてました。 裁判で両親が魔法使いだと知った隣の奥さんは、不気味に思って男の子を孤児院の前で棄ててしまいました。 だから拾った孤児院の職員達は何も分からずに、男の子を孤児院で引き取る事を決めたのです。 それから男の子は辛い日々を送る事となりました。 男の子は賢く優しい子です。 孤児院には男の子の他にも、沢山の子供が居ました。 孤児院は大抵が好意の個人運営が多く、この孤児院も個人運営で財政難でした。 なので 着るものはおろか、食事の量も十分とは言えません。 何時も子供達はお腹を空かせていました。 男の子は自分よりも小さな子に、食事の一部を分けてあげてました。 自分と同じか大きな子には、頑として屈せずに自分の食料を守りました。 でなければ男の子は死んでしまうからです。 常にお腹を空かせて痩せっぽちな小さな身体。 男の子はふらふらとしながら、本を読み耽る変わった雰囲気の子供でした。 子供に恵まれない裕福な大人には良くは映らず、男の子は養子にされずに孤児院で成長続けました。 それを見て憐れに思ったのが天使です。 天使は男の子の為に毎日大きな林檎を一つだけ持って来て、天使の目の前で食べさせました。 天使の目の前で食べさせなければ、男の子は小さな子達に分け与えてしまうのです。 男の子の身体は悲鳴を上げていたので、天使は強引に目の前で食べさせるのを決めたのです。   
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!