魔法使いの物語

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男の子は ちょっと変わっていました。 人間は少しでも変わっていると、その人物を避けるものです。 男の子よりも小さな子達は、要領よく食事の時だけ男の子に近付きます。 無口な男の子は瞳を優しく細めて、黙って小さな子達の皿に、少しずつ食事を分けてあげます。 小さな子達はサッと別のテーブルに着き、急いで食事を済ませるのです。 それは大きな子達に食事を取られない為です。 そんな事は気にせずに、ゆっくり味わって食事を始める男の子は、孤児院の中でも大きな子供に分類されるようになりました。 子供達に避けられる男の子は、午前中の作業の時間以外は何をしていても誰も興味は無いので、広い孤児院の庭から出なければ比較的自由に過ごしてました。 他の大きな子達は小さな子達の面倒を見て、一緒に遊んであげなくてはならないので、結構年長さんは大変なのでした。 男の子は大きな子達がそんな苦労をしている間に、丘の上の一本樹木の葉の陰で、天使と会って林檎を食べたり指導をして貰ったりしました。 賢い男の子は天使が教える魔法を、どんどんと覚えてゆきました。 男の子は魔法使いだった両親の血を目覚めさせ、強力な魔法使いへと成長してゆくのでした。 天使はその力を秘めるように男の子に念を押して、男の子の前から姿を消しました。 これ以上に強力な魔法使いに男の子がなってしまったら、恐ろしいと天使が恐怖したからです。    
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