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天使が去って、ひとりぼっちに逆戻りした男の子。
天使が持ってくる林檎を食べられないので、再び飢えに苦しみました。
年齢も体つきも、大人と呼ぶにはまだ早いですが、賢さが男の子には有るので孤児院から自立しました。
男の子は飢えに苦しむのはもう嫌だったので、賄いとして余った材料を使い、自分で焼いたパンを食べられるパン屋で働きました。
賄い分だけ給料を引かれるので、生活は苦しいけれど男の子は飢えに苦しむ事は無くなりました。
男の子の仕事は材料の大きな袋を運んだり、材料を切ったり、焼けたパンを店頭に並べるのが仕事でした。
仕事では生地を触らせてはくれません。
夕方の客が引いた頃に、余った材料を貰って自分の手で加工をするのです。
パンの焼き方なんて教わってません。
男の子はパンを作る主人を盗み見て、生地の捏ね方や焼き時間を覚えました。
余った生地を貰えるので、発酵などの難しい事は知らなくても大丈夫でした。
せっかくパンを貰えるのだから、美味しいパンを食べたい!
男の子は工夫して、様々な美味しいパンを作りました。
男の子の同僚に配達専門の子が居ましたが、めんどくさがりな彼は男の子に自分の分も加工させました。
男の子の同僚は、男の子の焼くパンの美味しさについ、店のパンより男の子のパンが美味しいと口を滑らせてしまいました。
それを聞いた主人は怒り狂いました。
男の子を摘み出そうと思いましたが、ふと、気が変わって男の子の焼いたパンを食べてみる事にしました。
この町にもう一軒、新たにパン屋が出来て客を取られ勝ちだったからでした。
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