入学式

2/7
前へ
/73ページ
次へ
「ヤっ………ヤべえ!!」 俺の名は寺嶋明。 ピッチピチの15歳童貞だ。 猛勉強の甲斐あってか、晴れて念願の私立カトゥタカ高校に合格。 待ちに待った入学式を今日に迎え、高校生となる準備は万端だった… 筈だが…… 今、完っ全に遅刻しそうだ。 「明!早く食べちゃいなさい!遅刻するわよ!」 「うっせえ!こんなの食えるか!」 「あんたの好き嫌いが直るように作ったのに…」 「いや…ね?だからってこんな高野豆腐ばっか作られてもね…」 そう、遅刻しそうなのはこいつとの格闘が原因なのだ。 一体俺にどんな恨みがあってこんなに高野豆腐を作ったんだ? 食卓が高野豆腐オンリーで埋め尽くされてるってどういう事? 「…………こんなに食えるか!!ばか!」 「もう……!しょうがないわねぇ…ホラ、あーんしたげるから早く食べなさい」 オフクロはそう言って、たどたどしい手付きで高野豆腐を箸ではさんだ。 「おいオフクロ…ド近眼の癖に眼鏡なしでそんな事すんなよ…怖いわ」 「大丈夫よ…多分。 はい、あーーーーん」 震える高野豆腐が俺の顔に近づいて来る。 ん?あれ?俺の口っていつから右目の位置に「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」 …………朝からすごい目が腫れました。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

459人が本棚に入れています
本棚に追加