BL

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 私の人生を変えたのは独りの少年である。今は青年か……。  色素が薄いのか、それとも染めたのか、どちらにせよ茶みがかった髪をなびかせながら、彼は颯爽と現れた。  その姿が、今までみたどのヒーローよりも輝いて見えたのを私は覚えている。  彼は女共を睨んで散らし、こう言った。 「男相手に僻んでんじゃねえよ! ブス共!」  彼は私を守ってくれたのだ。その時に芽生えた感情。  子供の時分ではわからなかった胸の奥をつつくようなこの感情。  今もって彼に示そう。これは『恋』だ。  私は男に、あの青年に恋をした。  世間一般からすれば気持ち悪いと罵倒されることは必須だろう。彼もそういうに違いない。  でも、言わずにいると胸が張り裂けそうなのだ。  だから伝えることにした。  文面に「校舎裏の樹の下で待ってます」とだけ書いた。
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