『 土竜 』

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  キミは気付いているのだろうか。 逸らした視線の左の後ろ。 隠れ家を掘った。 小さな公園の錆びたジャングル・ジムの下。 あの時は空の濃い色をしていた。 もぐらのようにボクら。 光の世界から逃げ出すんだ。 キミとボクと、ふたりだけの秘密基地。 小さなスコープとスコープで。 足元を深くすれば、空は大きくなった。 もっと、もっと大きくなった。 「あそこに天国があるんだ」 って、笑った。  
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