1496人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃ行ってくるのです♪」
手提げ鞄を持った美雨を俺と弥生は玄関まで付いていった。
「気を付けてな?」
「お母様のこと、よろしくね。」
「はいなのです♪ 任されたのです!」
美雨は手提げ鞄をブンブンと振り回しながら楽しそうに歩いていった。
美雨に任せておけば麗香さんは大丈夫だな。
「んじゃ俺たちも行くか。」
「そうね。 早くしなきゃ日が暮れちゃうわね。」
━━━━…。
と言うわけで。
俺達は車で家から程近い不動産屋まで来た。
ガラッ。
「すいませーん。 家、探してるんですが~。」
「あぁ、いらっしゃいませ。」
不動産屋に入ると中には一人のオジサンが座っていた。
ん~…空いてるな。
まぁ不動産屋が混むのかは知らないけど。
「どのような家をお探しで?」
椅子に座るように促すオジサン。
俺達は頭を小さくペコッと下げて椅子に腰掛けた。
「えっと…3LDKの住み心地の良い家で。」
「あ…あの…お兄さん? それは曖昧すぎませんか…?」
んなこと言われても…住み心地が一番、重要だから。
「住み心地の良い家ですか…これなんてどうですか?」
間取りの書かれた一枚の紙を俺達に渡した。
「ほぉ…一軒家か…。 駐車場ありで3LDK。」
何この好条件。
俺のための家みたいなもんじゃないか。
「よしっ…ここに決めた!」
「コウ…? 先に家を見に行かなきゃよ?」
だって早くしなきゃ誰かに取られちゃうんだぞッ!?
最初のコメントを投稿しよう!