五章・引っ越しです。

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  「あ…嵐のようだったわね…。」 開けっ放しになっているリビングの扉をポカンッと見ている弥生。 ふふっ…ふははッ! やったぞッ! 「タダであんなに良い家を手に入れたぁぁぁぁッ!」 「良いこと言ってたのに台無し…。」 いや引っ越すとは言ったけどな…? いくら掛かるかビクビクしててさ。 「でもタダじゃないわよ? 引っ越し屋さんに頼んだら━━」 ふふっ…それなら心配ご無用だ! 「トラックは用意してある! だから引っ越し屋には頼まん!」 店長が店のトラックを貸してくれるんだ。 店にトラックがあることに驚いたんだが。 「あっ、なら本当にタダ…? 必要なのは体力だけね。」 「一日で終わらないなら何日か掛けて、ゆっくりやればいいさ。」 俺はテーブルに置いてある鍵をポケットに捩込んだ。 「じゃ美雨も連れて新しい家をゆっくり見るか。」 「ついでに、お母様にも引っ越しのこと言わなきゃね。」 そうだな。 一人でも多くの人に手伝ってもらわなきゃ。  
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