五章・引っ越しです。

16/42
前へ
/374ページ
次へ
  [べつに大丈夫だ。 仕事、頑張ってな?] さすがにアイドルに『無理してでも手伝え』とは言えないからな。 言わないが。 [はーい♪ 公平くん達も引っ越し頑張ってね~♪] [ん。 それじゃまたな。] 有希が電話を切ったのを確認してから俺は電源ボタンを押した。 「おっ、もうこんな時間か。 そろそろ店長が来るな。」 さっさと顔を洗って外に出るか。 俺が目印にならなきゃ場所が分からないだろうし。 水道から出る冷水で顔を洗う。 首に掛けたタオルで顔を拭きながら外に出た。 ピーッピーッ。 前を見るとトラックがバックで、こちらに向かってきた。 「おっ場所分かったんだ。 さすが店━━」 ん…? ちょっと待て…何だ、このトラックは…。 「やぁ鈴本くん♪ おはよう♪」 店長は運転席の窓からニコニコと笑いながら俺に手を振っていた。 「あー…おはようございます…。」 「ん? どうしたの?」 いや、どうしたのって…。 それは、こっちの台詞です。 「何ですか、このトラック。 どうしてデコトラなんですか。」 「僕のお店はチューニングショップだよ?」 こんなデコトラまで扱ってるなんて従業員も驚きです。  
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1496人が本棚に入れています
本棚に追加