五章・引っ越しです。

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  「鈴本さーん。 何を運んだらいいっすか?」 ジャケットを置いてきた田中さんは腕を捲りながら俺の元に歩いてきた。 「えっと…後は大物の冷蔵庫くらいですね。 おいジョニーッ!」 トラックに向かって大声で呼ぶと荷台裏からピョコッと顔を出したジョニー。 「も…もしかして、また僕も運ぶのかい…?」 「当たり前だろ。 頼むぞジョニー。」 ━━━━…。 田中さんは冷蔵庫の頭を持ってグイッと横に倒した。 「それじゃ下、持ち上げていいっすよ~。」 田中さんに、もたれ掛かるように斜めに倒れた冷蔵庫。 その下をガシッと掴んだ。 「よしっ行くぞ?」 「い…いつでも良いぞ!」 俺の隣で真剣な顔をして冷蔵庫を掴むジョニー。 んっ…。 頼んだぞジョニー。 「「せーのッ!」」 グッと腕に掛かる冷蔵庫の重さに、よろめきながら体制を整える。 「ふぬッ! お…重いッ! 僕には無理だッ!」 「ふざけんなッ! お前、冷蔵庫に触れてねぇじゃねぇかッ!」 通りで重いと思ったよッ! ったく…しっかりしてくれ。 「あはは…バレたか…。」 この腑抜け…役立たず…。 エリザベスにチクっちまうからな。 「俺が先頭になるっす。」 「了解しました。 それじゃ運びましょう。」 田中さんの誘導で、ゆっくりと慎重に冷蔵庫を運び始めた。 うん…ジョニーと二人で食器棚とかを運んでた時より楽だ。 さすがは田中さん。  
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