一章・帰ってきたッ!?

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  「それより腹は減ってないか?」 「ペコペコなのですッ!」 ソファーから勢い良く立ち上がった美雨。 テーブルから身を乗り出しながら俺を見た。 そんなに腹減ってたのか。 なら言えばいいのに。 「何が食いたい? 材料があれば注文通りに作るけど。」 空いたカップを二つ手に持ってソファーからスッと立ち上がった。 「わたし、ご主人様のハンバーグが食べたいのです!」 ハンバーグか。 何か懐かしいな…。 「じゃ美雨も手伝ってくれるか?」 「もちろんなのです♪」 美雨はキッチンに向かって歩く俺に後ろからギュッと抱き着いた。 二年前は毎日のように二人で料理してたよな。 美雨が魚をつまみ食いしたりもしたっけ。 「わたしが玉葱みじん切りにするのです♪」 「頼んだ。 俺は挽き肉、用意するから。」 一人で料理して一人で食べる二年間は本当に味気なかった。 何かが物足りなかった。 「ふんふふーん…って目に染みたッ! 涙が出るのですッ…。」 料理の一番のスパイスは愛情とは良く言ったもんだ。 本当にその通りだからな。 「鼻に栓をすると大丈夫らしいぞ?」 「本当なの…ふぇふふぁ?」 鼻の両穴に丸めたティッシュを詰めた美雨は間抜けな顔をしながら首を傾げた。 「へも、ふごくはなひぃふらいのふぇふ。」 あはは! 凄い変な顔だぞ美雨!  
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