五章・引っ越しです。

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  道に迷った店長に今の場所が分かるわけがなかった。 俺は周りの建物を説明してもらい何となく場所が分かった。 [じゃ…絶対にそこから動かないでくださいね?] ブツッ。 「場所、分かったっすか?」 肩に掛けたタオルで額の汗を拭いながら俺の元に歩いてきた田中さん。 「はい。 ここから三十分くらいの場所に居ますね。」 「随分と遠くに居るっすね…あはは…。」 店長って、めちゃくちゃ方向音痴だったんだな…。 初めて知った…。 「田中さん一緒に来てもらえませんか?」 助手席に置いてある美雨の荷物を後部座席に移動しながら田中さんを見た。 「大丈夫っすよ。 それじゃお邪魔するっす。」 田中さんはゆっくりと助手席のドアを開いて乗り込んだ。 「おーい美雨! ちょっと出掛けてくるからよろしくな~!」 「あっ、はいなのです! 気を付けてなのですよ~!」 窓から美雨に向かって叫んでから俺達は店長の居る場所に向かって走り出した。  
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