五章・引っ越しです。

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  ━━━━…。 「あっ…あのデコトラじゃないっすか?」 三十分程度の時間、走り続けると見覚えのある車が見えてきた。 「あぁ…そうですね。 確実にあれです。」 あのYuNowの書かれた箱はそうですね。 何て目立つトラックなんでしょうか。 俺はハザードを焚いて停まっているトラックの後ろに車を停めた。 「鈴本くーん…見付けてくれて良かったぁ…。」 店長はトラックから降りて俺達の元に駆け寄ってきた。 「店長…方向音痴なら、そう言ってくださいよ。」 「だから『僕が運転するの~ッ!?』って聞いたんじゃないかッ!」 あぁ確かに言ってました。 そういう意味だったんですね。 「朝は俺ん家まで、どうやってきたんですか?」 ショボンッと落ち込む店長を溜め息を吐きながら見た。 「ナビを使ったから…。」 そうですか。 ならナビで前の俺ん家まで戻っててくださいよ。 「はぁ…とりあえず戻りましょうか…。」 トラックが着かなきゃ、これ以上進まないですからね。 日も暮れそうです。 「戻ったら急いで作業しなきゃマズいっすね。」 田中さんは相変わらず優しい笑顔でニコニコと笑っていた。  
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