五章・引っ越しです。

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  ━━━━…。 「ふぅっ…これで終わりですね。」 最後の荷物を家に運び終えた頃には既に空は真っ暗になっていた。 「そうっすね。 結構、掛かったっす…。」 「田中さん本当に今日は助かりましたよ…。」 俺と田中さんは二人で同時にドスッとソファーに腰を降ろした。 疲れた…。 明日は全身筋肉痛だな…。 「田中さん時間は大丈夫~? 社長に会うんでしょ?」 テーブルで段ボールから新聞紙に包まった皿を取り出す有希は時計を見ながら言った。 「あっ本当っすね。 そろそろ出なきゃっす。」 ジャケットを羽織りながら立ち上がった田中さん。 「これから仕事ですか? お忙しいのにすいません…。」 「いぇいぇ! 鈴本さんにはご迷惑お掛けしてますから!」 良い人だ…。 俺が女なら確実に惚れてます。 「それじゃお疲れ様っす! YuNowさんをよろしくっす!」 田中さんは車のキーを鞄から出しながら走って家から出ていった。 「さてと…それじゃ片付けしちゃい━━」 「ねぇ鈴本くん。」 俺の正面のソファーに座る店長は何かを考えるような仕草で俺を見ていた。 はい…? 今、忙しいんですけど。 「田中さん『YuNowさんをよろしく』って言わなかった?」 「はいはい、そうです…ねッ!?」 言ってたかッ!? あっ…言ってたッ! 「どういうことかな? 説明してくれる?」 「えっと…聞き間違━━」 「僕がYuNow様を聞き間違えたとでも?」 非常にマズイ状況になってきました~ッ!  
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