一章・帰ってきたッ!?

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  「はなふぇん、ふごいのれふ! ひみないのれふ!」 ガチャッ。 「ただいま~…って何してるのよ美雨…。」 リビングの扉を開けた弥生はソーッとキッチンを覗き込んでいた。 「はなふぇんなのへふ!」 玉葱をトントンッと手際良くみじん切りする美雨。 鼻にはもちろんティッシュが詰まっていた。 「アンタ…物凄い間抜けよ? えいッ!」 「ふぁッ! はなふぇんぬいひゃらめなのれふッ!」 苦笑いしながら弥生は美雨の鼻からスポンッとティッシュを引っこ抜いた。 「にゃあぁぁぁぁッ! 目に染みるのですぅぅぅぅッ!」 まぁそうなるわな。 ってか弥生も、そっとしといてやってくれ。 「ひぐッ…涙が止まらないのですッ…。」 「はぁ…玉葱は俺がやるから美雨は他のことやってくれ。」 涙をボロボロと零す美雨から包丁を受け取った俺はまな板の前に立った。 仕方ねぇな。 これを口にくわえて…っと。 「ふぇ? どうして生で玉葱を食べてるのですか?」 「玉葱を口にくわえてると目が染みないんだよ。」 昔、麗香さんに教わってな。 昔の人達の知恵って奴なんだとさ。  
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