六章・とある猫達の一日。

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  ━━━━…。 「んじゃ行ってきまーすッ! 戸締まりよろしく~ッ!」 「「行ってらっしゃーい。」」 コウがバタバタと走りながら家を飛び出すと一気に静かになった。 「ふぅ…。」 朝から騒がしいんだから…。 今日の出勤時間、教えてくれれば起こしたのに。 「そういえば弥生ちゃん、お腹は平気なのですか?」 美雨はコウの使っていた枕を抱きしめクンクンと匂いを嗅いでいた。 「あっ、お腹空いたかも…。」 「それじゃ作ってくるのです♪」 満足したのか枕をポイッと投げ捨てるとキッチンに向かった。 ん~…何か忘れてる気がする。 何だったっけ…。 『んにゃ~ッ! 冷蔵庫が空っぽなのです~ッ!』 そっかそっか。 材料が無い、ってことを忘れてたんだわ。 「あっ…そういえば昨日、寝る前に…。」 私は眠さの中で話していた曖昧な記憶を頼りにコウの部屋の棚をガサゴソと漁った。 えっと…ん~…。 確か、ここら辺に…あった! 「そうそう。 コウがお金置いてってくれたんだった。」 棚から茶色の封筒を取り出した。 中身を確認すると材料を買ったり食事をするには十分すぎるお金が入っていた。 さすがコウね…。 自分が遅刻するのを予測してたかのように…。  
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