六章・とある猫達の一日。

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  ━━━━…。 「えっと…窓は閉めたし火は使ってないわよね。」 玄関で靴を履き終えた私は家を見渡しながら最終確認をしていた。 「弥生ちゃん早く早くなのですよ~!」 「はいはい…。」 子供じゃないんだから、そんなに焦らないでよ。 コウの苦労が分かるわ…。 ガチャッとキーを回してからドアノブを引いて掛かったことを確認した。 うん…OK。 戸締まり完璧ね。 「それじゃ行くわよ美雨。」 「はいなのです♪」 私達は二人で横に並びプラプラと適当に歩き始めた。 「それでどうするの? 何かしたいことある?」 「ん~…まずは腹ごしらえなのです♪」 あっ、そうね。 腹が減っては何とやらって言うらしいしね。 「ねぇ美雨? そこの喫茶店なんて良さそうじゃない?」 私達の正面にはオシャレな外装の喫茶店が立っていた。 「あっ可愛いお店なのですね♪ ここで決まりなのです♪」 お店はまだ早い時間だからなのか空いていて、すぐに入ることが出来た。 「では、ご注文が決まりましたらブザーでお呼びください。」 店員さんは私達を席まで案内するとメニューとお水を置いて戻っていった。 「さて…何にしようかしら。」 朝だから軽くで良いのよ。 多分、美雨も同じようなことを考えて━━ 「わたしはこれなのです♪」 「ん? どれ?」 美雨が嬉しそうに指差すメニューを机から乗り出して見た。 「えっと『キングハンバーグ、ハンバーグを乗せて』…?」 「王様のハンバーグにハンバーグを乗せるなんて凄いのです♪」 キングハンバーグっていうんだから相当な大きさなんでしょ…? それにハンバーグをトッピングって…。 「あはは…私はサンドイッチにするわね。」 さすが美雨よね…。 朝からガッツリって感じ…。 私は苦笑いをしながらブザーを押す。 店員さんにメニューを見せながら注文した。  
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