六章・とある猫達の一日。

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  「う…うるさいのです~ッ! 耳が痛いのですよ~ッ!」 「ん…本当ね…。」 でも、みんな何でもなさそうに居るわよね。 少し私達の耳は違うのかしら。 「弥生ちゃん? あれは何なのですか?」 耳を両手で塞ぎながら美雨は興味深そうに目の前の機械を見ていた。 「えっと…プリクラって言うみたいね。 写真がシールになって出てくるんだってさ。」 シールだったら持ち歩く物に貼れば、いつでも見れるわね。 「撮りたいのです! レッツゴーなのです♪」 「はいはい…。」 カーテンを潜り機械にお金を入れると画面に色々な設定が現れた。 フレームとか画質とか、よく分からないわよ…まぁいっか。 これと…これっ! 『撮影を始めるよ♪』 設定を終えると機械がカウントダウンを始めた。 画面に映る数字が一つずつ小さな数字に変わる。 「ほらほらっ♪ 弥生ちゃん笑ってなのですよ~♪」 ギュッと私の腕に抱き着いた美雨は私を見てニーッと八重歯を出しながら微笑んだ。 「ちょっと美雨? 私の腕に抱き着いたまま撮るの?」 「もちろんなのです!」 そうなの…何か変な絵図だけどね。 って近いッ…ちょっと悪戯してみようかな。 私はソーッと手を動かし美雨の耳を後ろからギュッと鷲掴みにした。 「ひゃんッ! ななな何事なのですかッ!?」 カシャッ! 機械からシャッター音が鳴ると画面に今撮った写真が表示された。 「あぁ~ッ! 弥生ちゃんが私の耳、触ってるのです~ッ!」 画面を見た美雨はプクーッと頬を膨らませながら私を軽く睨んだ。 「あはは! この写真、最高じゃないのっ♪」 「最高なんかじゃないのですよ~ッ!」 いや、なかなか良く撮れてるわよ? 驚く美雨の顔が…ププッ!  
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