六章・とある猫達の一日。

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  それから何回かの撮影をした後、落書きが出来るみたいで美雨は楽しそうにペンを握っていた。 「はいっ♪ 完成したのですっ♪」 やっと終わったのね。 撮影より長いって、ある意味凄いわね。 「どれどれ? 見せ━━」 「さっ弥生ちゃん出るのですよ~♪」 画面を見ようとした私を何故か慌てながら引っ張りプリクラから出た。 「何よ…見せてくれないの?」 悪口でも書いてあるのかしら。 それ、かなりショックだけど。 「出来てからのお楽しみなのですよ♪」 スッと屈んだ美雨はニコニコしながら取り出し口を見詰めていた。 ガチャンッ。 「出来たのです♪ って弥生ちゃん取ったらダメなのですよ~ッ!」 美雨が取り出したプリクラを私はヒョイッと掠め取った。 どれどれ…。 プリクラには二種類の写真が使われていた。 一枚目は二人とも笑ってる写真。 私の隣には『大好きなのです♪』と可愛らしい字で書いてあった。 「えへへ…恥ずかしいのです…。」 美雨は手をモジモジとしながら真っ赤な顔で私の隣にピタッと、くっついた。 「美雨…ありがとね。 凄く嬉しいわ。」 「照れるのです♪」 ふふっ。 それじゃ二枚目は…んっ? 何よ、これ…。 二枚目は美雨が驚いて目を見開いてる所で撮られた写真。 この写真にも一枚目と同じような場所に落書きされていた。 「ねぇ…美雨? これ読んでみて?」 「えっ? 『弥生ちゃんの意地悪! 太ったくせ━━」 ギューッ! 「あぅぅッ! ほっへた、ひたひのれふよ~ッ!」 美雨のプニプニと柔らかい頬を摘んで横にギューッと引っ張った。 喧嘩売ったのは美雨だもん。 天罰よ天罰。  
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