1496人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうだ? 出来てるか?」
手をタオルで拭きながらリビングに居る二人の元に歩いて向かった。
ふふっ…やってるやってる。
あんなに真剣な顔して。
「よっ…ほっ…にゃあッ! 手に挽き肉が引っ付く~ッ!」
「手に少しサラダ油を付けると、くっ付かないぞ。」
俺は、くっ付いた挽き肉を必死に取る弥生の頭にポンッと手を乗せた。
「ご主人様! わたしの力作を見てなのです!」
って馬鹿。
そんな油まみれの手で服を掴むんじゃない。
「美雨が作ったのはどれだ?」
「これなのです、これ!」
美雨は大皿に乗っかっているハンバーグを指差しながらニッコリと微笑んだ。
「ん~…これは何の形なんだ? ブーメランか?」
大皿に乗ってるハンバーグはそれはそれは微妙な形をしていた。
「ハートなのですよッ! どこからどう見てもハートッ!」
あぁハートな。
ブーメランか寝転がってる猫に見えた。
ん…そういえば。
「あの猫はどこ行ったんだ? さっきまで飯食ってたのに。」
猫が居たはずの皿の前には姿が見えない。
皿の中身も綺麗に無くなっていた。
「猫? 窓を無理矢理こじ開けて逃げたわよ。」
弥生はハンバーグの形を整えながら指先でチョイチョイッと窓を指差していた。
な…何だと…。
まんまと食い逃げされたってわけか…。
「まぁ仕方ないか…んじゃ、そろそろハンバーグ焼くぞ?」
「はいなのです! お腹ペコペコなのですよ~!」
最初のコメントを投稿しよう!