六章・とある猫達の一日。

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  「はぁッ…追ってきてるわねッ…はぁッ…。」 しつこいッ! あー、もう鬱陶しいッ! 「そこの脇道に入るのですッ!」 美雨の指差す方には車一台しか通れないくらいの細い道があった。 美雨この道知ってるの? もしかしたら抜け道なのかしら…。 「分かったわッ! 行くわよ美雨ッ!」 「はいなのですッ!」 私達は追ってくる不良達を見て急いで細い道へと入っていった。 ちょ…ちょっと待って…。 これは何かの冗談よね…? 「美雨…行き止まりだけど?」 曲がった先はブロック塀が立っていて行き止まりになっていた。 「まぁ勘なので仕方ないのです♪」 「引っ叩くわよ。」 勘って緊張感なさすぎ…。 美雨を信じた私がバカだったわ…。 「ほらっ引き返━━」 「へへっ…もう逃げらんねぇぞ?」 振り返ると三人の不良が私達をニヤニヤと見ながら立っていた。 に…逃げられないじゃない…もうッ! コウッ…助けてよッ! ズギャギャギャ~ッ! 「なッ!? おぃッ! 改造車が入ってきたぞッ!?」 細い道に車が物凄い勢いでタイヤを鳴らし白煙を撒き散らしながら突っ込んできた。 ヴォーヴォンヴォンッ! その車は不良達の目の前にピタッと停まると物凄い轟音を響かせた。 「な…何だ、あの車…。 チッ…逃げるぞッ!」 それを見た不良達は車を見ながら後退りをすると一目散に逃げていった。 な…何が起こったの…? でも何はともあれ…。 「た…助かったぁ…。」 私は安心して腰が抜け地面にペタンッと座り込んだ。 「一件落着なのです♪」 美雨は凄いわね…。 いや何も考えてないだけか…。  
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